ークワガタ相撲の基本ー

・まず、クワガタの姿勢を知る。

・選虫

①習性

それぞれのクワガタクワガタと一言呼んでも、様々な種類がいる。ドルクスのような、樹の洞の隙間に潜むクワガタは平面での闘いに強く、ノコギリクワガタやミヤマクワガタ、フタマタクワガタ、ツヤクワガタは普段高い木の枝で生活することが多く、そのため樹上戦での闘いを得意とする。微妙な違いではあるものの、がどのような習性なのかと知っておくことで、相撲もより楽しむことができるだろう。

②バリエーション

おなじ種同士でも、当然体格が大きかったり、小さかったり、性格も違ってきたりする。クワガタ相撲において、このクワガタの性格をみてどの虫が強いかを見極めることも大切である。

・闘わせる。

「闘わせる」とは、意図的に人の手の操作によってクワガタを奮闘させるのだから、当然クワガタをその気にさせるのは簡単ともいえないことがある。オオヒラタクワガタやノコギリクワガタ、フタマタクワガタのような気性がもともと荒めの虫だと、すぐにでも互いに喧嘩をしようとするので、このようなクワガタで闘わせるのが無難であろう。

1・クワガタ相撲に使われるもの。

①土俵 クワガタを戦わせる場。クワガタに使われる土俵は、主に樹皮や積層ダンボール(用途としては、猫の爪とぎに使われるもの)など、爪が引っ掛かりやすい板が使われる。毛糸やフェルトだと、がっちり爪が引っ掛かりすぎて爪をいためたりとれてしまう恐れがあるのであまりふさわしくはない。

土俵の作り方はこちらから⇒

②指揮棒

指揮棒とは、闘いを促すための棒である。先端にはクワガタの顎がついており、これをクワガタの顎や頭、足などを触ることで敵だと認識して怒って顎をふるいかざして闘志をむき出す。これを利用して脚を触ったりして向かせたい位置へ方向転換させたり、顎を触って突進させたりできる。つまりクワガタを自在にコントロールすることができるのだ。この指揮棒によってクワガタをコントロールさせたり、闘わせる前に闘志をつけさせる。

  

指揮棒の作り方はこちらから⇒

③当て虫

当て虫とは、クワガタのメンタルを促すための虫である。聞こえは悪いがわざと弱い虫(大きさが小さい虫など)でたたかわせて、勝ち癖をつけさせる。

2・クワガタ相撲において必要とされる要素

①メンタル

クワガタにもメンタルはあり、個体によって強かったり弱かったりもする。このメンタルは相撲においてとても重要なものである。闘いに敗れたり、相手よりも劣っていると感じると、自信を失って闘おうとしなくなり逃げだしてしまう。このメンタルを回復させるには、しばらく時間を置いて待つことや、「当て虫」と呼ばれる弱い虫などで戦わせて自信をつけさせたりすることですぐにもとのメンタルを取り戻すことがある。また、ティッシュや毛筆などやわらかいもので頭をなでたりする場合も闘志をむき出すこともある。フィジカル同様、メンタルというのも相撲においてなくてはならないものなのだ。

②トレーニング

クワガタには、「鍛える」という概念はないと思ってくれても構わないだろう。なぜなら、成虫はもうそれ以上身体に肉がつかないからである。クワガタやカブトムシに重いものを持ち上げさせたり引っ張らせたりしてパワーを上げさせるという人もいるみたいではあるが、これは虫を寿命を縮めるばかりである。基本的に虫にフィジカルのトレーニングは体力を減らす一方で無意味。いうなれば虫の場合は「鍛える」のではなく「自信をつけさせる」の方が適切である。

前述したとおり、クワガタにはメンタルがあり、これをつけさせることの方が大事だ。指揮棒や当て虫をつかい、「自分は強い」と信じ込ませ気迫をつけさせるのをむしろクワガタ相撲で「トレーニング」と呼ぶのである。

しかし、過度なトレーニングは無駄な体力消費につながるため基本的には放っておくのが一番であり、ときどきメンタルトレーニングをするのが最良である。

③顎力

顎と力とかいて「ガクリョク」と呼んでいる。顎力は相手を挟み込んで、はなさないものが強いといえる。とくに、内歯が先端の方についている虫は相手をがっちりと挟み込み、持ち上げたり押し出したりする。これを種名を取って「●●ロック」と呼ばれたりする。このときに、ロックが外れてしまうようでは顎力が強いとは呼べない。この顎力を見極めるには自らの指を顎で挟ませてその圧迫度で測る。勘を極めるには慣れが必要になってくる。なお、先端や内歯の部分に挟まれると激痛なので注意。「モー虫IWGP」の「甲歯力研究所」では、この顎を測ることができる「顎力計」をつくりだし、クワガタの顎力のデータをレポートしている。

④脚力

クワガタ相撲では、脚の力も問われる。脚力はとくに個体差があり、挟まれて持ち上げられるときに容易に脚が浮いてしまったりなかなか持ち上げられないものまでさまざま。当然後者のほうが相撲に向いている。脚と言っても、クワガタには爪の先端部の「フセツ」と、中間の「ケイセツ」、根元の「タイセツ」の3つがある。爪は鋭い方がしがみつきやすい。しかし、脚力においてもう一つ大切なのが関節の強さ。脚の引き締める強さである。この脚力を見極めるには、自らの指を脚に挟ませてその圧迫度で測る。勘を極めるには慣れが必要になってくる。なお、このときに顎に挟まれないように注意。

 

⑤体重

クワガタの身体のサイズが同じでも体重が異なる。体重は個体差がある。一般的には羽化して成虫になったばかりの時は体重が重く、老いると体重が軽くなる。クワガタ相撲において体重は当然のったほうが優位に立つことができる。体重は食べ物を多くとらせることで上げることができるらしい。しかし、グラム制限のかかった階級もあるため、この場合は身体が大きくて軽い個体が優位である。

3・カブトムシの相撲

クワガタとの違い

クワガタは樹液場や雌を争うために口の一部である顎を武器に進化させた虫である。そして、カブトムシは顎ではなく頭部や胸部が伸びて角という武器に進化させた虫である。闘い方は相手を頭角と胸角で挟み込んで持ち上げて落としたり、梃子の原理で相手を投げ飛ばしたり、もうひとつ、前脚を鞭のような武器にしておいはらったりと、種類によってさまざまである。しかし、カブトムシの場合はクワガタと違い、同じ種同士で闘うので、一つの種のもつ技のバリエーションがあまりない。クワガタは挟み込んで投げ飛ばしたり、挟んだまま押し出したりと、一つの種だけでも持っている技のバリエーションが多い。カブトムシは異種同士で闘わせるとほとんど闘いとは言えないものになってしまうことが多い。つまり、カブトムシの場合は同種同士で相撲させるのがベターである。

また、クワガタと違い闘わせることも難しい。つまり、クワガタのように指揮棒を使ってコントロールさせたり、闘おうとする体勢にさせるのが難しいのである。

          

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